万葉集の花

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  万葉集の花

  万葉集は日本最古の歌集で全20巻・4516首の歌が収録されています。

  7〜8世紀の間に詠われた万葉集は、天皇や貴族の歌ばかりでなく東国(中部地方や関東地方)の
  名もない農民たちが作った東歌(あずまうた)、兵士として九州におくられた防人の歌など
  長短さまざまの歌が収められています。

  万葉集ではたくさんの花が詠われていますが、一番多く詠われているのが萩の141首、
  次に多いのが梅の119首だそうです。

  名前のない歌もたくさんあり、現在の花の名前と違うものも多くあるようですが、
  「万葉集の花」のページでは万葉集で詠われた花の歌を紹介ています。

 

あかね

茜草(あかね)さす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る
  (巻1−20・額田王)
 
あさがほ
萩の花 尾花葛花 なでしこが花 をみなへし また藤袴 朝顔の花
  (巻8−1538・山上憶良)
 
あし
葦辺(あしへ)行く、鴨(かも)の羽音の、音(おと)のみに、聞きつつもとな、恋(こ)ひわたるかも
  (巻12−3090・作者不詳)
 
あしび
池水に影さへ見えて咲きにほふ馬酔木の花を袖にこきれな
  (巻20−4512・大伴家持)
 
あしび
我が背子(せこ)に、我が恋ふらくは、奥山の、馬酔木(あしび)の花の、今盛りなり
  (巻10−1903・作者: 不明)
 
あしび
磯の上に生ふる馬酔木(あせび)を、手(た)折らめど、見すべき君が、在りと言はなくに
  (巻2−0166・大伯皇女(おおくのひめみこ)
 
あじさい
紫陽花(あじさい)の八重咲く如く、弥(や)つ代にを、いませわが背子、見つつ思(しの)はぬ
  (巻20−4448・橘諸兄(たちばなのもろえ)
 
あやめ
霍公鳥(ほととぎす)、いとふ時なし、あやめぐさ、かづらにせむ日、こゆ鳴き渡れ
  (巻18−4035・田辺福麻呂(たなべのふくまろ)
 
うのはな
卯の花の、咲くとはなしに、ある人に、恋ひやわたらむ、片思にして
  (巻10−1989・作者不詳)
 
うのはな
時(とき)ならず、玉(たま)をぞ貫(ぬ)ける、卯(う)の花(はな)の、五月(さつき)を待(ま)たば、久(ひさ)しくあるべみ
  (巻10−1975・作者不詳)
 
うめ
春さればまづ咲く宿の梅の花ひとり見つつや春日暮らさむ
  (巻5−818・山上憶良)
 
うめ
我妹子(わぎもこ)が、植ゑし梅の木、見るごとに、心咽(む)せつつ、涙し流る
  (巻3−453・大伴旅人(おおとものたびと)
 
うめ
梅の花、今盛りなり、思ふどち、かざしにしてな、今盛りなり
  (巻5−820・葛井大夫(ふじいたいう)
かきつばた
住吉の、浅沢(あささわ)小野の杜若(かきつはた)、衣(ころも)に摺(す)り付け、着む日知らずも
  (巻7−1361・作者不詳)
 
からあい
我がやどに、韓藍(からあい)蒔(ま)き生(お)ほし、枯れぬれど、懲(こ)りずてまたも、蒔(ま)かむとぞ思ふ
  (巻3−384・山部宿祢赤人(やまべのすくねあかひと)
 
からたち
からたちのうばら刈り除(そ)け倉建てむくそ遠くまれ櫛造る刀自
  (巻16−3832・忌部首(いむべのおびと)
 
くず
夏葛(なつくず)の絶えぬ使の、よどめれば、事しもあるごと、思ひつるかも
  (巻4−649・大伴坂上郎女(おおとものさかのうへのいらつめ)
 
くず
延(は)ふ葛(くず)の、絶えず偲(しの)はむ、大君(おほきみ)の、見(め)しし野辺(のへ)には、標(しめ)結(ゆ)ふべしも
  (巻20−4509・大伴家持(おおとものやかもち)
 
くれない
紅(くれなゐ)の、深(こ)染(そ)めの衣、色深く、染(し)みにしかばか、忘れかねつる
  (巻11−2624・作者不詳)
さくら
春雨(はるさめ)の、しくしく降(ふ)るに、高円(たかまと)の、山の桜(さくら)は、いかにかあるらむ
  (巻8−1440・河辺東人(かわへのあずまと)
 
さくら
見わたせば、春日(かすが)の野辺(のへ)に、霞(かすみ)立ち、咲きにほへるは、桜花(さくらばな)かも
  (巻10−1872・作者不明)
 
すみれ
春の野にすみれ摘みにと来しわれそ野をなつかしみ一夜寝にける
  (巻8−1424・山部赤人)
 
すみれ
山吹の咲きたる野辺のつほすみれ、この春の雨に盛りなりけり
  (巻8−1444・高田女王(たかだのおおきみ)
たで
わがやどの穂蓼(たで)古幹(ふるから)摘み生(お)ほし実になるまでに 君をし待たむ
  (巻11−2759・作者未詳)
 
つきくさ
月草に衣そ染むる君がため斑(まだら)の衣摺らむと思ひて
  (巻7−1255・作者未詳)
 
つた
岩綱(いはつな)の、また変若(をち)ちかへり、あをによし、奈良(なら)の都(みやこ)を、またも見(み)むかも
  (巻6−1046・作者不詳)
 
つつじ
風速(かざはや)の美穂の浦みの白つつじ、見れどもさぶし、亡き人思へば
  (巻3−434・河辺宮人(かはべのみやひと)
 
つばき
あしひきの八つ峰(を)の椿つらつらに見ともあかめや植ゑてける君
  (巻20−4481・大伴家持)
 

つばき

川上のつらつら椿つらつらに見れども飽かず巨勢(こせ)の春野は
  (巻1−56・春日蔵首老(かすがのくらびとおゆ)
なでしこ
なでしこが、花見るごとに、娘子(をとめ)らが、笑(ゑ)まひのにほひ、思ほゆるかも
  (巻18−4114・大伴家持(おおとものやかもち)
 
ねぶ
我妹子が形見の合歓木(ねぶ)は花のみに咲きてけだしく実にならじかも
  (巻8−1463・大伴家持)
はぎ
高円(たかまと)の、野辺(のへ)の秋萩(あきはぎ)、な散りそね、君が形見に、見つつ偲はむ
  (巻2−233・作者不詳)
 
はぎ
百済野(くだらの)の、萩の古枝(ふるえ)に、春待つと、居(を)りし鴬(うぐひす)、鳴きにけむかも
  (巻8−1431・作者: 山部赤人(やまべのあかひと)
 
はまゆふ
み熊野の浦の浜木綿百重なす心は思へどただに逢はぬかも
  (巻4−496・柿本人麻呂)
 
ふぢ
春へ咲く藤のうら葉のうら安にさ寝(ぬ)る夜そなき児(こ)ろをし思(も)へば
  (巻14−3504・作者未詳)
 
ふぢばかま
萩の花 尾花葛花 なでしこが花 をみなへし また藤袴 朝顔が花
  (巻8−1538・山上憶良)
まゆみ
南淵の細川山に立つ檀(まゆみ)弓束(ゆづか)巻くまで人に知らえじ
  (巻7−1330・作者不詳)
 
まゆみ
陸奥(みちのく)の、安達太良真弓(あだたらまゆみ)、弦(つら)はけて、引(ひ)かばか人の、我(わ)を言(こと)なさむ
  (巻7−13299・作者不詳)
 
もも
春の苑くれなゐにほふ桃の花した照る道にいで立つ娘子(おとめ)
  (巻19−4139・大伴家持)
やまたちばな
あしひきの山橘の色に出でよ語らひ継ぎて逢ふこともあらむ
  (巻4−669・春日王)
 
やまぶき
山吹のにほへる妹がはねず色の赤裳の姿夢(いめ)に見えつつ
  (巻11−2786・作者未詳)
 
やまぶき
山吹(やまぶき)の花取り持ちて、つれもなく、離(か)れにし妹(いも)を、偲(しの)ひつるかも
  (巻20−4304・留女女郎(りゅうぢょのいらつめ)
 
ゆり
夏の野の、茂みに咲ける、姫百合の、知らえぬ恋は、苦しきものぞ
  (巻8−1500・坂上郎女(さかのうえのいらつめ)
わすれぐさ
忘れ草わがひもにつく香具山の古りにし里を忘れむがため
  (巻3−334・大伴旅人)
 
をばな
高円の尾花吹き越す秋風にひも解き開けなただならずとも
  (巻20−4295・大伴池主(おおとものいけぬし)
 
をみなへし
秋の田の穂向き見がてりわが背子がふさ手折りけるをみなへしかも
  (巻17−3943・大伴家持)
 
をみなへし
をみなへし咲きたる野辺(のへ)を行き廻り、君を思ひ出、た廻(もとほ)り来ぬ
  (巻17−3944・大伴宿祢池主(おおとものすくねいけぬし)
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